研究内容
発色の制御が 可能で、構造が壊れない限り永久的に発色 する発色体の作製を目指しています。
我々の生活は多種多様な色で彩られています。彩色 には有機色素や無機顔料が用いられていますが、これらの物質の彩色には耐久性や安全性に課題が残っています。有機色素は紫外線にさらされることにより、分子が分解され褪色してしまうため、長期の彩色手段としては不向きな面があります。無機顔料は耐久性が高いものの、一部の顔料には人体に有害な金属元素 が含まれていることがあります。
そこで私は、 希少な金属資源を用いずに、構造が壊れない限り永久的に発色する新たな発色体を作製することで、既存の彩色法の課題を解決しようと考えています。
具体的なアプローチとして、光吸収と周期構造による干渉の二つの要素を制御することによって発色する構造体を構築することで、既存の彩色法の課題の解決を目指します。
光の波長の長さ(1 mの1億分の1以下)以下のスケールで周期的な構造を持つ物体は、光が干渉することで色づきます。私は光の波長程度の大きさの粒子を合成し、種々の化学的な手法で特定波長のみを吸収する機能をもたせることで、周期構造によって発色するだけでなく、物質そのものの光吸収によっても発色を制御できる構造体を作製しようと考えています。この時、希少な金属資源を使用しない無機材料を構造物に用い、粒子の光吸収能と粒子の周期構造を両方制御することによって、無限の種類の色を生み出す構造体の作製を目指します。